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日本和装の着付け教室へ生産者からのメッセージ

伝統を守ってきた、匠たちだからこそ話せることがあります。
「講座&販売会」生産者と消費者の直接の出会いの場──
こうした場が、生産者にとってどんなに励みになっているのかも 語られています。

この年まで手機織りを続けてこられたのは
何より着てくれる人のおかげです。

手織り職人、伝統工芸士 奥村貞男(80歳)
製織業を営む家に生まれ「色々なものを織りたい」と手機の道へ。現在は西陣の織元・加納幸で埋機(うめばた)と呼ばれる希少な織り機をつかう。
柄によっては1日に10cmしか織れない。体調が少しでも悪ければ織り目に響く。「宿命のような気持ちで」手機と一心に向かい合った60年だったが、数年前から日本和装の受講生が製作現場を見学に来るように。
数ヵ月後にそのときに購入した帯を結んで再訪する卒業生も少なくない。「一緒に写真を撮ったりね。皆さん、いい着こなしをしてらっしゃる。うれしいね。この年になるまで続けてこられたのは、何より着てくれる人のおかげ。これからも、きもの姿を守ってもらいたい」

着る方の思いに近づいた創作をするために…
きもの好きの方から直に聞く要望や意見はとても勉強になります。

きものプロデューサー
京都工芸染匠協同組合理事 市川純一郎(59歳)

京友禅型紙商の8代目として生まれるが、大学卒業後に染め屋での修業を経て独立。数々の受賞歴をもつ。「きものを着ることで豊かになったり優しい気持ちになったりする、それがきものの魅力だと思っています」
「日本和装を通してお会いできた、きもの好きな方々から直に聞く要望や意見はとても勉強になりますね。問屋を通してでしか商品が流通していなかった昔では考えられないこと。着る方の思いにより近づいた創作ができるようになったと喜んでいます」
「最近は、伝統だけではない、ファッションとしての需要を強く感じます。きものを現代の生活に根付かせ、次世代へと繋ぐ役割を日本和装は担ってくれていると思います」

結城紬は着る方を含めて完成する。
だからこそ、これからもきもの人口をどんどん増やしていってほしい。

純国産本場結城紬産元
小倉商店 手織り職人 小柳阿佐子(49歳)

結城紬には、地機(じばた)と高機(たかはた)で織る2種類の方法があるが、ここでは地機を使っている。「地機織りは万葉集に記述があるほど日本古来から伝わる織り方で、特徴といえば、織り手が入ってはじめて機械として成り立つということでしょうか」
腰に糸を固定して両足で踏ん張りながら糸の張り具合を調整し、大きな刀杼(とうひ)を打ち込んでよこ糸を織るため、まさに肉体労働。平均で、織り手一人で年間に五反程度しか織れない。「それでも好きでこの道に飛び込んだので、週に6日織り続けていても平気ですし、重要無形文化財の結城紬を織ることに大きなやりがいも感じています」
結城紬の良さは、軽くて着くずれしにくく、一日中着ていても疲れないこと。さらに着ることによって柔らかくなり、絹のツヤも出てきて、ますます良さが増すという。「そういう意味では、着る方を含めて完成するきものなんですね。日本和装の教室やイベントを通して、それを伝えていただきたいし、きものが“特別なもの”ではなくなるよう、きもの人口を増やしていただけたらうれしいです」

和服が好きな方はたくさんいます。
無料教室などで、きっかけ作りをしている日本和装に期待しています。

須藤商店 絣くくり職人 須藤英(52歳)
方眼紙に書かれた模様に応じて、一つひとつ糸をくくって結城紬の柄をつくっていくのが絣くびり。糸を縛った部分は染料がしみこまないので、染めた後にくくった糸を外すと柄が生まれる。
「糸をくくるのは、平均して1分間に7〜8個のペースですかね。約30cm四方のベタ亀甲柄を織るのに2ヵ月かかるほど地道な作業で、実際にご覧になった方々も『とてつもない根気と熟練技が要る作業だ』と本当に驚かれます」
100年以上にわたって結城紬を生産してきた家に生まれ育った須藤さん。現在52歳だが、この仕事を始めて35年目のベテランだ。
「和服を好きな人は絶対にいますから、必要なのはきっかけ作りだと思います。ここ結城でも、市をあげて着る機会などのイベントをやったりしますが、単発で終わってしまいます。ですから日本和装が無料の着付教室やイベントで着る機会を増やしているのは本当に素晴らしいと思います。そして、コーディネート体験会&販売会では結城紬をもっともっとアピールしてほしいですね」

和装する方が増えて、成長し、価値を見極める目が養われていく…
ありがたいし、うれしいですね。

江戸小紋染工房 小林染芸
日本工芸会 正会員、伝統工芸士 小林義一(52歳)

父の代から続く工房で、江戸小紋の歴史・きもの研究家としても活躍している弟の福司さんと一緒に、機械では表現できない江戸小紋の染めを実現している。
江戸小紋を染めるには、まず板に糊を塗り、そこに生地を置く。その上に型紙を置いて、へらを使って型付け作業。「この時、型紙で彫られた部分だけが紋様になるのです。きもの好きな方たちを招いてこの作業を体験していただくこともありますが、単調に見えてとても難しいと皆さんおっしゃいます」
江戸小紋の良さを一言であらわすと「奥ゆかしさ」だそうだ。遠目には無地に見える隠れたおしゃれ、一歩引いて礼儀を尽くすなど魅力は多いが、生活に密着していることに面白味があると語る。「鮫小紋はお嫁に行く時に持たされたり、お宮参りに着たりしますが、その意味を知ると着る時に気持ちも変わります。日本和装にはそんな日本古来の伝統や歴史も伝えていただき、きものへの興味関心を高めていってほしいですね」

今の職人がつくった新しいものを知ってもらって、
着てもらうことが何よりの励みになります。

京紅型 栗山工房 岸川英雄(71歳)
「腕のいい人がどんどんやめていくね」と寂しそうに語る。丁稚時代を含めて50年以上勤めた染色屋が廃業して今の会社へ移ってきた。
染めない部分に糊を置く工程を担当し、30kgの板を一日に数十回上げ下ろしする。「線の柔らかさや色の深みなど、機械では出せない味わいが手仕事ならではの良さ」。その仕上がりを左右する重要な工程だが、できる職人が減っているそうだ。
「着られる人が増えているのはありがたいこと。今の職人がつくった新しいものを知ってもらって、ぜひ着てもらいたい。自分のつくったものが着る方によって形になる。そうやって残っていくことが何よりうれしい」



※表示されている年齢は取材当時の年齢です。