吉田が語る「私とバセドウ病」

吉田重久
よしだ しげひさ

■1984年(昭和59年)3月
 創業 21,4歳

■1986年(昭和61年)7月
 設立 23歳

■1991年(平成3年)3月
 福岡大学商学部第二部卒業

■1991年(平成3年)9月
 結婚 28歳

■1995年(平成7年)1月
 大阪へ進出 32歳

■1995年(平成7年)9月
 東京へ進出 32歳

■2006年(平成18年)9月
 株式上場

■2009年(平成21年10月
 バセドウ病発病

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▷はじめに

▷前兆

▷検査と発見

▷発覚から検査

▷症状

▷治療へ

▷療養中の変化

▷病院の選択

▷薬を含む治療費

▷最後に苦しんだこと

▷一病息災

▷最後に

はじめに

バセドウ病(バセドウ氏病)──私は2009年10月頃、この病気であることが発覚し、数ヶ月間の苦しい時期を過ごしました。もの凄い倦怠感と体重の減少、のどの渇きと異常な食欲増加、いま考えてみるとすべてこの病気の症状でした。 病院や医師の見解もさまざまで、この数ヵ月は“どうしたら良いのか?”と病床から携帯電話を使って色々と情報を見ては、安心したり不安になったり。


私は、21歳の時に起業して約26年間。その間病気で休んだことなどありませんでした。 病気になってしばらく、趣味ともいえる仕事を長期間休んで治療に専念しましたが、その情報の少なさに不安を感じたのも事実でした。


2週間ごとに、FT3、FT4の数値と肝機能の数値を測り、やっと先週の土曜日(2010/4/10)、1ヵ月に一度の通院で良いと主治医からの許しをもらったのを機に、同じ病気で苦しんでいる方のために、何かお役に立てないかと体験談を掲載させていただくことにしました。


病状は人それぞれだと思いますが、詳しくは全国各地の専門医のWebなどに記載されていますので、是非それを参考にしてください。

2009年10月に発覚し約半年です。会社にも家族にもたくさんの迷惑を掛けました。これは少し大袈裟ですが、“もう駄目だな~”と仕事の引退と遺言を意識したのも事実です。 こうして回想記を綴れることを幸せに思っており、周囲の皆さんの理解と協力に深く感謝しています。それから末っ子のJ君、数ヵ月間手を引いてお風呂に入れてくれてありがとう。君から私への一生分の恩返しだったと思っているよ。


平成22年4月13日
吉田重久

前兆

汗が出る、疲れる、脈拍が上がる、これが一般的な症状のようです。しかし、激務であった時期に、このような症状を特別なものと感じませんでした。「まさかバセドウ病だったとは!!」と発見してくれた医師も言っていたほどです。それはなぜか?じつは男性の場合、ほとんどバセドウ病を疑わないからです。特に、男性のバセドウ病患者は少ないので、真っ先にそれを疑うことはないようです。統計的にも、女性10人に対して男性は1名~2名以下という病気だそうです。

「疲れるんだよね・・・」と妻に相談し、まず近くの医院へ行きましたが、「気管支炎?熱は?」と診てくれました。その日の結論は、脈拍を下げる筋肉注射を打ってもらい帰りました。とにかく、疲れを感じたのですが、いつものストレス性の自律神経失調症?下手をすれば飛行機の乗り過ぎ、お酒の飲み過ぎ、と要らぬ疑いまでかけられる始末でした。しかし、この辺がほとんどの診断だと思います。

会社の健康診断で発覚するだろう?という人もいますが、甲状腺は胸のレントゲンにも写らず、普通の血液検査では甲状腺ホルモンの数値までは測りません。だから、だるいと思えば甲状腺ホルモンまで調べるように依頼することをお薦めします。



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検査と発見

それから出張もあり、出張先のホテルでは精神安定剤を飲んで睡眠を摂るような日々が続きました。そして、私の出身地でもある福岡のある馴染みの内科医院で、「先生~最近特に疲れるし、太ももが痛いけどなんでなのかな~?」と相談し、いつものように血液検査をした時に、その医師が「検査技師さん、吉田さんの検査はFT3も追加しておいて~」と言ってくれたのが、この病気の発見につながりました。


その日は、アレルギー対策の薬や湿布薬などを処方してもらい帰りましたが、翌日先生から電話があり、「吉田さんはホルモン検査の数値が通常の3倍以上あるから総合病院を紹介するので月曜日に来てください」というのです。何のことなのか分からず、とりあえず病院へ行きました。 過去に女性の社員面接の際に、甲状腺疾患と聞いたことがあり、“奇病”を持った人だな~と少し偏見を持っていた気がします。その本人になるとは、夢にも思わなかったことでした。しかし甲状腺疾患は、ある意味奇病です。自分の免疫が抗体を作り、自分の甲状腺を敵だと認識して攻めるのです。その攻められた甲状腺が、自分を守るためにホルモンを出す、だからバセドウ病なのですから奇病と言えます。

そして、その原因がいまだ医学では分からないのですから、やはり奇病の域だと思います。



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発覚から検査

福岡日赤病院へ──専門医は一人だけという環境です。体が辛いのに待合室の人の多さ、もう耐えられないほどでした。

そして、やっと診察。セオリー通りに血液検査から始まり、その後数日間はヨウドを摂取しないようにして検査をするのが普通の検査です。ヨウド?いつもは気にしていないものに含まれているものです。例えば、卵、海藻類、化学調味料、などです。それを数日間摂取せずに検査をすると判明する、そういう検査です。



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症状

症状は人それぞれだと思いますが、私の場合辛かったのは「周期性四肢麻痺」でした。周期的に手足が動かなくなるのです。手足とお腹の筋肉にも力が入らず、お尻の筋肉にも力が入らないので、一人では起きられないし立てないのです。それを医師に相談すると、「それはおかしいですねぇ」。こんな調子ですので、相当不安になりました。別の医師に相談すると、黄色系の人、特に男性患者に見られる症状だという症例を聞き安心しましたが、起き上がれない、立てない、つまり一人でトイレに行けません。起き上がれないので、車椅子にも乗れない、つまり板に乗せてもらう以外に方法がない、そんな感じでした。


手足が動かない時に不安に思ったのは、このまま呼吸が出来なくなるのでは?ということです。筋肉が動かないので、そのまま呼吸する筋肉も動かなくなるのでは?という不安に思うのです。 もう1つは、手足の震えです。震えてコーヒーが飲めないのです。寒くもないのに信じられないほど震える、これは代表的な症状ようです。


ある医師の話によると、精神科医がバセドウ病になった時、それが分からず精神科として入院したそうです。ノイローゼになった医師が途方にくれて検査した結果、バセドウ病と分かったそうです。 もう1つの話しですが、若い女性が板に乗せられて入院したそうです。ずっと調子が悪く色んな病院で検査をし、最終的に精神科から整形外科へと通ったそうです。そしてある日、四肢麻痺を起こして全く体が動かなくなり、垂れ流し状態で運ばれてバセドウ病と分かり、治療の末元気に退院したそうです。


この四肢麻痺は、「周期性四肢麻痺」といわれており、手足が全く動かない状態が3時間ほどで嘘だったように元に戻るのです。そしてその繰り返し。これは医学的に説明が出来るもので、体内のカリュウム不足が原因だそうです。補給するのも心臓発作の可能性があるため注意が必要とのことです。


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治療へ

バセドウ病の治療薬は基本的に2種類しかありません。メルカゾール、チウラジールの2つです。これを投薬しながら、副作用を調べるから2週間に一度の通院を通告されます。肝臓機能が低下する可能性があり、その検査をしながら投薬を続けます。 どの病気もそうでしょうが、このバセドウ病は投薬後の血液残存量が非常に低く、投薬から7日~10日で効きはじめるそうです。

私の場合、メルカゾールを飲んで臭い(臭覚)が低下=全くなくなってしまい、もう一方に変えてもらいましたが、チウラジールは飲んで10分ほどで強い苦味を感じます。先生に相談すると、「そうですよね~」と簡単なものです。しかし、この2つしかないのですから仕方がありません。


治療開始の時のことを伝えたいと思います。先にステロイド剤を処方されました。それは、免疫を抑える作用があり、自分が作った抗体が戦わないようにするそうです。だから、その時には風邪をひいてはいけないと何度も言われた記憶があります。

免疫が抗体を作り、その抗体が自分自身の甲状腺を攻撃する。攻撃されると甲状腺がホルモンを出して守ろうとする、これが過多になるのがバセドウ病です。逆が橋本病と聞いています。

食欲があるのに痩せる、消費カロリーは安静時で8,000カロリーとも言われています。お腹が空くのです。食べるけど痩せると怖いです。10キロは痩せたと思いますが、ダイエットしている時は体重が減ると嬉しいですが、一日7食ほど食べても痩せる。高カロリーの甘いお菓子を大量に食べてもドンドン痩せました。


ある医師の話ですが、中国かなにかで製造された違法な痩せ薬に甲状腺ホルモンを混ぜたものがあったそうで、それを飲んで数名死んだそうです。つまり、甲状腺ホルモンが過多になると、痩せるがホルモンのバランスが狂って死に至ったそうです。それだけ重要なホルモンだということでした。


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療養中の変化

イライラ感が和らいだら数値が改善していました。それより、手足の震えが1つのバロメーターだったと思います。そして何よりも、周期性四肢麻痺の発作が起きなくなりました。これで安心したのが本音です。トイレに自分で行ける、この当たり前のことがありがたいことだと感じたのも初めての経験でした。

数値が下がると体重も増え始めました。ホルモンのバランスが改善すると、体重の増加に注意するようにと医師からの指導もありました。 私のように数値が改善すれば良いのですが、投薬しても何ヵ月も改善しない方もいるようです。


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病院の選択

初期の検査と投薬開始は福岡で行い、その後は表参道の「伊藤病院」に転院しました。この伊藤病院のことについてもご紹介します。

朝、6時過ぎから受付開始という病院です。全国各地から来られる方も多く、待ち時間は血液検査後1時間~2時間を要します。この病院は、甲状腺疾患以外は診ないという病院です。それでいて、地上8階地下2階という病院です。つまり、それだけ患者数が多いということです。


待ち時間をさまざまな工夫で感じさせないよう配慮されています。例えば、受付から血液検査、エコー検査、会計とすべてが機械。受付には人が立っておらず、すべて「受付くん」「到着くん」「確認くん」という機械に診察券を入れることで処理されます。また、最大の武器といえば、血液検査のスピードです。ホルモン検査をするのに数日を要す病院も多いのですが、この病院は1時間で出来るのです。更に、待ち人数を携帯電話のサイトで確認できるので、外へ出掛けていても何人待ちで、どの診察室(15室ほどあります)で、どの先生と表示されますので待ち時間を長く感じさせないのです。


何より症例数が多いので、小さな病院では聞けなかったことが聞けたように思います。さらに安心するのは患者数です。患者が多いのは、同時に待ち時間を意味しますが、“自分と同じ疾患だ~、こんなにいらっしゃるのか~”と変な安心感があります。だから、一般の病院に比べて、何の病気で来られているのか?インフルエンザにならないか?と心配する度合いが低く、妙に病院内のマナーが良いように感じています。共通点がある人ばかりだとこうなるのかな、と思います。


どこにでも専門医がおられると思いますが、表参道まで行ける環境があれば、この病院はお薦めです。私の場合、午後からならば15時位に到着し、会計まで終えて17時30分頃には病院を出ています。


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薬を含む治療費

バセドウ病は、あの田中角栄元首相も患っていたと聞いています。もちろん、歌手の絢香さんも同じ病気のようです。その治療費は、1回の診療と2週間分の薬で約5,000円です。初回はエコー検査もありましたので9,000円位だったと記憶しています。(政府管掌の社会保険 3割負担)


またこの血液検査ですが、保険適応が月に一回だそうです。つまり、FT3・FT4の両方を検査するのは、月に1回しか保険適応が出来ないそうです。これは不思議でしたが、今となっては月に1回の診療ですので問題ないのですが、苦しい時には数値が確認出来ないのは辛く思いました。



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最後に苦しんだこと

約半年の治療を受けましたが、最後まで苦しんだのは“息切れ”です。数値が高いと現われる症状だと聞いています。それと突然の筋肉の攣り(つり)。これもホルモンのバランスから起きるものだそうです。


お決まりといえばその通りですが「ストレスを掛けないようにして安静に」これが医師の言葉ですが、何がストレスで、どうしていれば安静なのか?この辺は永遠の課題だと思います。息切れには、テノーミンという薬を処方されます。筋肉の攣り(つり)には、ホルモンを下げすぎないようにする方法を指導されます。ヨウ化カリウムの投薬を減らすという方法をとりました。


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一病息災

療養中にブログの読者の方から温かいメールをいただきました。何もないよりも少し病気があった方が用心して良い、というメッセージでした。ありがたいメッセージでした。

無理なスケジュールで動いていたので、今は予定を体調と相談しながら調整。随分と回復して来ました。


今まで病気という病気をしたことがなかったので、今回は相当に凹みましたが、振り返ってみるとパソコンでいう“強制終了”をされたように感じています。命拾いをしたようにも思います。


多くの方にご心配をお掛けし、多くの方にお見舞いやメッセージをいただきました。また、仕事関係者をはじめ、多くの皆さんとの連絡も途絶え、ご迷惑とご心配をお掛けしました。吉田は死んだ、殺された、そんな噂をする人も出たそうですが、おかげさまでこうして元気にしています。ありがとうございます。



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最後に

この経験が、誰かの何かのお役に立てればと綴らせていただきました。私でお役に立てれば何でもお答えしますので、このブログのご意見のページからお気軽にメッセージをお送りください。

おかげさまで、こうして復活いたしました!これまで、たくさんのご支援とご協力をいただいた皆様に心より感謝しています。これからも、よろしくお願い申し上げます。



おわり


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